戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
その紅が、愛馬の背から降りる。

私も憮然として愛馬から降りた。

「そんな幼子のような態度をとられても困るな」

いつもの余裕ぶった態度で紅が腕組みをする。

端正な顔立ち、長身、短く揃えられた黒髪。

正直美男だと思う。

しかし彼が、その美男を台無しにするほどの皮肉屋だという事を、私は長い付き合いで知っていた。

その鋭くえぐるような皮肉は、彼の得手とする槍術並みに高い威力を誇るのだ。

「さぁ、王宮に戻ってもらおうか、女王陛下殿」

わざと肩書きの方で私を呼ぶ紅。

「まだまだやるべき仕事は残っているのだ。日が沈まぬうちに片付けてくれ」

彼はニヤリと笑った。

「仕事(てき)の増援が来ぬうちにな」



















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