Destiny
『失礼かと思ったんですが、アドレス帳から勝手に自宅の番号を検索して、連絡させてもらいました。
携帯がないと困るかなぁと思って』



私はどう答えたらいいか分からなかった。



「有り難うございます」



とりあえずお礼を言う。



『僕、今、春日野の駅前にいるんで、もしそこまで来てもらえるならすぐお渡ししますけど』


「あ…」


またあいつからの連絡を待つ自分を想像すると、返事をためらってしまった。



『着信もメールも何件かあるので…』



息が止まりそうになった。


その一言を聞いた瞬間、メールの相手はあいつかもしれないと思った。


もちろん、そんな根拠はどこにもないけど。


そう思いたかった。
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