Destiny
「今すぐ行きます!」


私は無意識のうちにそう答えていた。



自分から想いを断ち切るなんてやっぱり無理なんだ。



『分かりました。じゃ、春日野駅前の噴水の傍で待ってます』


「はい。すぐに向かいます」


そう約束して電話を切った。



「亜梨沙、携帯落としたんだって?
だから電話に出なかったのね。
まったくおっちょこちょいなんだから。
拾ってくれた人がいい人で良かったわね。」



「うん。」


と軽く返事だけして2階に上がり、定期ケースだけを掴んだ。

そして、また階段を駆け降りる。



私のバタバタした様子を、お母さんは少し戸惑い気味に見ている。



「ちょっと出て来る!」



「気をつけてね、亜梨沙!」




早く携帯を手にして、メールの相手が誰なのか知りたい。



気持ちははやる一方で、私はビニール傘を持ち、大雨の中へ飛び出した。
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