Destiny
「亜梨沙っ!!!」


ここにも、泣きそうになりながら私の名前を呼ぶ人が一人。


足音の犯人はこいつだったのか。


彼は私の方に駆け寄ると、ガバッと私を抱きしめた。


「亜梨沙ぁ…生きてて良かったぁ…」


「ちょ、ちょっと!皆が見てる前でやめてよ ///」


嫌がる私のことなんて気にも留めず、彼は抱き締めた腕にさらに力を込めた。


「泣きたいときは、我慢しないで泣いていいんだよ。
いつでも俺の胸を貸してやるから」


ドラマでしか聞いたことがないような台詞に、本気で恥ずかしくなった私は、力ずくで彼の腕の中から抜け出す。
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