ときどき

今日は母親からメールがあった。ネギと豆腐を買ってきてほしいらしい。家の近くのスーパーで買おうとも思ったが、あそこはパートのおばさんが絡んでくるので少し苦手だ。
近所のおばさんにとってよそのお宅の子供なんてものは、責任を負わずに無条件で甘やかせる格好の存在なんだろうと思う。
いつまでもしみじみと「大きくなった」やら「偉い」やら言ってレジ脇の飴玉などをくれるが、正直恥ずかしいのでやめてほしい。あれは未就学児のもちものだ。
あと、世間話も地味にうっとうしい。近況を聞いてはまた「大きくなった」や「偉い」を繰り返し、学校の話を聞いては「最近はそうなのね」と目を丸くする。
極めつけに、おばさんは好意と親切でやっているので邪見にできない。
とにかく、私はおばさんが苦手だ。

ネギを携えて電車に乗るのもまた一興。私は、学校の最寄り駅近くのスーパーで用を済ませることにした。
最寄り駅近くは、半分都会に位置する駅周りにありがちな光景だ。店が集中していて少し活気はあるが、若者向けの店はなんか少し古い。
あんまりこの辺りでうろうろしたことはないが、スーパーなんてどこも同じようなものなので問題はないだろう。
私は、制服の効果で夕飯の材料を探すおばさんの視線を集めながら、店内に入った。
野菜売り場でネギを調達して、豆製品が並ぶ冷蔵スペースに向かう。

「ーーーあれって」

買い物かごに入り用の品を放り込んだ私が、そこでみたものは。
手前の商品をかき分けて、賞味期限が遅い納豆をサルベージしようとしている、
足立くんであった。