ときどき
雨の日、放課後の図書室に人は少ない。
みんな、雨の日はさっさと帰って思う存分家でぐうらたしたい派らしいのだ。
私もそっち派なのだけど、何せ委員の仕事なので帰るに帰れない。
常連の生徒数人が放課後早くに本の貸し借りに来ただけで、今日は利用者が途絶えた。
つまり、図書室に足立くんと二人きり。
どきどきする。
・・・・はは、それはないわ。
「閉館時間が一時間早まっても問題ないと思う人ー」
「おまえ、それ言ってて虚しくないのか。思ってたところで実行できるわけじゃないんだろ」
「そりゃそうだけど・・・そうだけど・・・!」
気軽な気持ちで投げかけた声を正論に捻り潰された私はうなだれた。
足立くんはいつも正論を武器のように振りかざしてくる。まあ、たまにネジ外れてる気がするけど。いまだかつて、軽口の叩き合いができたことがない。
せめてもの抵抗に恨めしげな目を送ってみるのだが、足立くんは読みかけの文庫本に目を落とした。
あ、その小説私知ってる。
黒幕は主人公の親友だよって言ってやりたいなあ。
「ーーーつまんね」
「え?ーーーその小説が?」
「伏線露骨すぎだし。これ、黒幕親友だろ」
足立くんは、投げやりに呟くと、ぱたんと文庫本を閉じてしまった。
いやいやいや、ちゃんと読もうよ、最後まで。ていうかなんか悔しい。
「足立くん、図書委員のくせに本に対する態度悪すぎ」
「何言ってんだ?本は俺に読んでもらってる身だぞ。最後まで読ませるだけの魅力を持ってないのが悪い」
「うーん・・・そうなのかなあ・・・」
足立くんのあまりの自信に私は圧倒される。
私にはこの本の弁護は無理だったのね。
みんな、雨の日はさっさと帰って思う存分家でぐうらたしたい派らしいのだ。
私もそっち派なのだけど、何せ委員の仕事なので帰るに帰れない。
常連の生徒数人が放課後早くに本の貸し借りに来ただけで、今日は利用者が途絶えた。
つまり、図書室に足立くんと二人きり。
どきどきする。
・・・・はは、それはないわ。
「閉館時間が一時間早まっても問題ないと思う人ー」
「おまえ、それ言ってて虚しくないのか。思ってたところで実行できるわけじゃないんだろ」
「そりゃそうだけど・・・そうだけど・・・!」
気軽な気持ちで投げかけた声を正論に捻り潰された私はうなだれた。
足立くんはいつも正論を武器のように振りかざしてくる。まあ、たまにネジ外れてる気がするけど。いまだかつて、軽口の叩き合いができたことがない。
せめてもの抵抗に恨めしげな目を送ってみるのだが、足立くんは読みかけの文庫本に目を落とした。
あ、その小説私知ってる。
黒幕は主人公の親友だよって言ってやりたいなあ。
「ーーーつまんね」
「え?ーーーその小説が?」
「伏線露骨すぎだし。これ、黒幕親友だろ」
足立くんは、投げやりに呟くと、ぱたんと文庫本を閉じてしまった。
いやいやいや、ちゃんと読もうよ、最後まで。ていうかなんか悔しい。
「足立くん、図書委員のくせに本に対する態度悪すぎ」
「何言ってんだ?本は俺に読んでもらってる身だぞ。最後まで読ませるだけの魅力を持ってないのが悪い」
「うーん・・・そうなのかなあ・・・」
足立くんのあまりの自信に私は圧倒される。
私にはこの本の弁護は無理だったのね。