ときどき
「わっ、ほんと久しぶりー!」

私は、口角を思い切り上げると、明るい声をあげた。

「ねー、クラス違うとぜんっぜん会わないよねー」
「志乃も真由も同じクラスだったっけ」
「そうそう、弓弦だけ離れたんじゃん」
「弓弦この前順位見たよー。77位とかめっちゃ頭良いじゃん!」
「あたしら余裕で三桁だったわー」
「あっ、こっちねー、クラスで仲良くしてる人たち」

私は、ぽかんとした様子で私たちのやりとりを眺めていた三人を紹介した。
佐伯くんを筆頭にみんな名乗ってくれたが、彼女達の視線はやはり足立くんに向かう。
まあ、そうなるか・・・。

「あたし、米沢志乃っていいまーす」
「岡部真由でーす。弓弦とは同じ中学でよくつるんでたんだー」

彼女達は愛想よく自己紹介した。渡部さんと足立くんは困惑したような表情になる。
この二人、表情をごまかせないからきついな。
彼女達がその表情に疑問符を浮かべかけたとき、佐伯くんがにっこりと口を開いた。

「へー、同じ中学ー。三人とも?揃って同じ高校とかめちゃくちゃ仲いいじゃん」
「でしょー?」
「マブダチだかんねー」

志乃と真由はにっこりしながら私を引き寄せて肩を組んだ。
ますます困惑を隠せていない渡部さんと足立くんとは対照的に、佐伯くんは笑顔を絶やさない。

「弓弦、会いにきてくれてもよかったのにー。クラスけっこう離れてるけどさー」
「そうだよー。休み時間とかさー」
「うーん、浅野さんけっこう付き合い広いしさー。俺らといないときでもクラスの女子に話しかけられたりしてるよ」
「あっ、そうなんだー。クラスまで来てもらうには忙しいかー」
「この子昔からけっこう調子良いもんねー。クラスみんなと仲良かったりしたし」

昔からってお前何様だと内心思いつつ、私は「へへ」と照れ笑いする。

「じゃあ、これからはちょくちょくそっちクラスのぞいてみるわー」
「また喋ろうねー」

去っていく二人に手を振って見送る。
二人の姿が教室に消えたところで、渡部さんが口を開いた。

「あれって・・・・友達じゃないんですか」
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