ときどき
「浅野さん、同じ中学の人は五人だけであまり知らない人が三人、二人は気が合わない人だって前言ってたじゃないですか」

やはりみんな覚えていたらしい。新学期開始直後に同じ中学の人がいるかという話になったときのことだ。

「いや・・・その二人が、さっきの」
「気が合わないのに友達・・・?浅野おまえどっかいかれてんじゃねえか」
「いかれるって・・・なんとなく話を合わせて付き合ってたらそんな関係になってたっていうか」
「あー、あるある。話はなんとなく合わせられるけど、気が合ってるわけじゃないんだよね」

佐伯くんの同意に、またしても私は息をつく。やっぱり分かってくれるらしい。

はじまりは、彼女達に話題を振られて、なんとなく悪く思われないような返事を重ねただけ。
気がついたらよく話を振られるようになって、気がついたらよくつるんでる状態になってた。
たしかに、それは普通の友達と同じだけど。
私は、彼女達の振る話題が正直嫌だった。
いつも、誰かの悪口だったから。

「なし崩し的に付き合ってることってあると思うよ、俺」
「へえ、浅野って意味の分からない付き合いしてるんだな」
「まるで鬼のような精神力ですね、浅野さん」
「私は、現代に生ける若者なら誰しも抱えているストレスだと思ってたけど」

足立くんと渡部さんって、やっぱり周りからすると浮いてるかも。
無理矢理話を合わせて嫌な人とでも付き合うなんて、多分二人はしたことがないんだ。
まあ、要求の違いなのかな。
私は、ひとりぼっちになるぐらいなら気が合わなくても一緒にいられる人を見つけたい。
二人は、わざわざ身を削って人を捜さなくても、そもそもお互いがいるんだ。

「それにしても、けっこう派手目な方たちでしたね」
「由美とは気が合わないだろうな」
「だと思います」
「それは、俺も思う」
「私も」

私は、みんなの意見に同意しながら一抹の不安を抱えていた。
彼女達がこの三人とも関わるようになって、起こることとは。
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