ときどき
「部活もやってないんでしょー、渡部さん。なんでー?」
「えっと・・・運動とかできないですし、文化部系にも興味のあるものがなくて・・・勉強してる方がいいかなと思ったので・・・」
「うわ、ほんと真面目じゃん・・・勉強とかそんな趣味みたいにやることじゃないでしょ・・・」
「志乃も真由もテニス部入ってなかったっけ」
「あー、あれもう辞めたし」
「なんか予想以上にガチだったし。帰ってテレビ見る時間もないくらい」
「ほんと、あれはスパルタすぎでしょ」

志乃と真由は中学校のときはテニス部にいた。
その理由は、多分一番緩かったからだ。たまたまうちの中学がそうだっただけだけど。
文化部は陰気そうで嫌なのだけど、割と真面目な運動部だと練習がだるいと言っていたことがある。
なるほどひどい思考回路だ。

「足立くんも帰宅部なのー?」
「ああ、興味なかったし、家でもすることあるし」
「家で何してるの?」
「普通。勉強とか家事とか」
「えー、家事するんだー!すごーい!」
「そういうのかっこいー!」
「かっこいいっていうか、実里くんの家は家族多いですし、普通に義務ですよね」
「他にやれる人がいるならわざわざやらねえよ」

足立くんの家事というキーワードに二人は色めき立ったが、渡部さんが口を挟み、足立くんもそっけなくそれに同意した。
二人は少し興が削がれたような顔つきになる。
私は慌てて口を挟んだ。

「まあ、それでもなんかかっこいいよねー!尊敬するわー、私親の手伝いとか全然しないしさー、おつかいとかいちいちウザいし無視しちゃうもん」
「だよねー!学校帰りで疲れてんのにスーパーとか寄りたくないし!」
「わかるわかる、買い物とか自分で行けよって感じー!」

私はまた調子を取り戻した彼女らに曖昧に笑いかける。
自分で言うのもなんだが慣れたものだ。
中学校のときの付き合い方と、結局同じ。高校で変わってることなんてないもんだったな。
< 41 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop