ときどき
誰からも嫌われたくないというのは、虫の良い話だと自分でも思う。
けれど、そうやって八方美人にやってたら他の人に対する悪意をも好意的に受け付けざるをえなくてしまっていたのだ。
自分がそういう悪意をぶつけられることが、余計に怖くなった。
嫌われたくなくて、生き方を妥協する。
その姿勢を、私は昨日、生まれて初めて正面から非難されたのだ。
で、ショックのあまり逆ギレ・・・・って、とても褒められたものじゃない。
「あの、浅野さん・・・実里くんと喧嘩でもしましたか」
「えっと、まあ・・・喧嘩っていうかなあ・・・」
佐伯くんと話した次の休み時間にこっそりと渡部さんが移動してきた。
なんだか、まともに目が見れない。
この後ろめたさ。きつい。
「実里くん、米沢さんたちが来るようになってからあまり浅野さんと話せませんでしたからね、寂しいんですよ」
「寂しいって・・・そんな可愛いもんじゃないんだって」
「まあ、可愛くはないですけど。でも、あの方たちと喋っていると、浅野さんもなんだか無理に力入ってるみたいですよ。・・・やっぱりちょっと苦手ですよね、ああいう人!」
渡部さんはこそこそと、しかしなんだか嬉しそうに言った。
その様子が妙に可笑しく、私も笑みを漏らした。
「そうそう、この前向こうのクラスの小テストでの惨状を聞いて、テストのボーダーをあげた方が張り合いが出て勉強するのではないかと思い、先生に言ってきました」
「あ、上げる・・・?」
「あと、追試の内容ももう少し放課後が拘束されるようなものにした方がスリルがあって良いのではないかと思いまして。先生も考慮に入れてくれるそうです」
「わあ・・・それ私も怖いんだけど」
「勉強しましょう!」
渡部さんが生き生きとしている。
やっぱりこの子、くそ真面目とかじゃなくて普通に勉強大好きなんだなあ。
渡部さんは、予鈴と共に速やかに席へ戻っていった。一学期の授業もあと一時間だ。
さて、私は自分がやるべきことを決めなくてはいけないのだけど。
足立くんに乱暴なりにも諭された形で決めた、というのは非常に癪だ。
なので、あえて彼の言ったことを否定する形に回りたい。
私は、もともと最低な人間ではないのだから。
けれど、そうやって八方美人にやってたら他の人に対する悪意をも好意的に受け付けざるをえなくてしまっていたのだ。
自分がそういう悪意をぶつけられることが、余計に怖くなった。
嫌われたくなくて、生き方を妥協する。
その姿勢を、私は昨日、生まれて初めて正面から非難されたのだ。
で、ショックのあまり逆ギレ・・・・って、とても褒められたものじゃない。
「あの、浅野さん・・・実里くんと喧嘩でもしましたか」
「えっと、まあ・・・喧嘩っていうかなあ・・・」
佐伯くんと話した次の休み時間にこっそりと渡部さんが移動してきた。
なんだか、まともに目が見れない。
この後ろめたさ。きつい。
「実里くん、米沢さんたちが来るようになってからあまり浅野さんと話せませんでしたからね、寂しいんですよ」
「寂しいって・・・そんな可愛いもんじゃないんだって」
「まあ、可愛くはないですけど。でも、あの方たちと喋っていると、浅野さんもなんだか無理に力入ってるみたいですよ。・・・やっぱりちょっと苦手ですよね、ああいう人!」
渡部さんはこそこそと、しかしなんだか嬉しそうに言った。
その様子が妙に可笑しく、私も笑みを漏らした。
「そうそう、この前向こうのクラスの小テストでの惨状を聞いて、テストのボーダーをあげた方が張り合いが出て勉強するのではないかと思い、先生に言ってきました」
「あ、上げる・・・?」
「あと、追試の内容ももう少し放課後が拘束されるようなものにした方がスリルがあって良いのではないかと思いまして。先生も考慮に入れてくれるそうです」
「わあ・・・それ私も怖いんだけど」
「勉強しましょう!」
渡部さんが生き生きとしている。
やっぱりこの子、くそ真面目とかじゃなくて普通に勉強大好きなんだなあ。
渡部さんは、予鈴と共に速やかに席へ戻っていった。一学期の授業もあと一時間だ。
さて、私は自分がやるべきことを決めなくてはいけないのだけど。
足立くんに乱暴なりにも諭された形で決めた、というのは非常に癪だ。
なので、あえて彼の言ったことを否定する形に回りたい。
私は、もともと最低な人間ではないのだから。