ときどき
その日の放課後、私から志乃と真由の教室に赴いてみると、彼女らは少し驚きながらも嬉しそうに駆け寄ってきた。
「やっほー、弓弦!」
「ねー、昨日のあれほんっと無いよねー!」
「なんかびびって帰っちゃったけどさー、あそこまで言わなくてよくない?」
つい、「ねー」と返しそうになるのをこらえる。
やっぱり、目の前にすると怖い。
「ていうか昨日さ、渡部さん先生に小テスト難しくしてくださいって言ってたんだけど!」
「まじありえねー!なんか先生使って嫌がらせしてくるとか、卑怯じゃない?」
「くそ真面目なだけかと思ったら陰湿とか、ほんと無いわー」
「・・・あのさ。そういうの・・・やめて」
私は、なるべく普通の調子を心がけながら、声を絞り出した。
志乃と真由が、一瞬止まった。
「・・・・ん?」
「弓弦・・・なんて?」
「もうさ、渡部さんの悪口言うのやめてよ。聞いててほんと嫌だから」
あぜんとした様子の二人に、私は続けた。
「え、なに・・・?いきなり」
「昨日まであんたへらへら笑ってたじゃん」
「あんなの本気で面白がってると思わないでよ。なんで私、友達の悪口に参加しなきゃいけないの」
「あ、弓弦ってもしかして足立くん狙いだった?ごめんごめん」
「そういうこと言ってるんじゃないんだけど。二年以上も知っててほんとに分からないんだ。渡部さんはそういうの分かってくれるのに」
二人は、顔を見合わせると怪訝な表情になった。
私自身がそれを向けられるのは、初めてだった。
「・・・なに、今更いい子ぶってんの。むかつくんだけど」
私は、俯きそうになる顔を気力で押し上げて彼女らに対峙した。
紛れも無い、自分との戦いだ。
「やっほー、弓弦!」
「ねー、昨日のあれほんっと無いよねー!」
「なんかびびって帰っちゃったけどさー、あそこまで言わなくてよくない?」
つい、「ねー」と返しそうになるのをこらえる。
やっぱり、目の前にすると怖い。
「ていうか昨日さ、渡部さん先生に小テスト難しくしてくださいって言ってたんだけど!」
「まじありえねー!なんか先生使って嫌がらせしてくるとか、卑怯じゃない?」
「くそ真面目なだけかと思ったら陰湿とか、ほんと無いわー」
「・・・あのさ。そういうの・・・やめて」
私は、なるべく普通の調子を心がけながら、声を絞り出した。
志乃と真由が、一瞬止まった。
「・・・・ん?」
「弓弦・・・なんて?」
「もうさ、渡部さんの悪口言うのやめてよ。聞いててほんと嫌だから」
あぜんとした様子の二人に、私は続けた。
「え、なに・・・?いきなり」
「昨日まであんたへらへら笑ってたじゃん」
「あんなの本気で面白がってると思わないでよ。なんで私、友達の悪口に参加しなきゃいけないの」
「あ、弓弦ってもしかして足立くん狙いだった?ごめんごめん」
「そういうこと言ってるんじゃないんだけど。二年以上も知っててほんとに分からないんだ。渡部さんはそういうの分かってくれるのに」
二人は、顔を見合わせると怪訝な表情になった。
私自身がそれを向けられるのは、初めてだった。
「・・・なに、今更いい子ぶってんの。むかつくんだけど」
私は、俯きそうになる顔を気力で押し上げて彼女らに対峙した。
紛れも無い、自分との戦いだ。