ときどき
「弓弦、高校入ってから変なんじゃないの。あんな暗そうな子と友達とか言うし」
「ひとの友達のこと何言ってんの、志乃。腹立つんだけど」
「勉強もそこまでやってなかったじゃん。どうしたの、あんた」
「どうもしないし。勉強って義務みたいなもんだしサボる方が意味分かんない」
「あー、そういやそうだったよね。あんたって、あたしらの前じゃ全然勉強してないとか言っててこそこそやってるような子だったよね」
「それさ、どこが悪いの?私、もともと志乃や真由より意識高いつもりだから。二人に馬鹿正直にこれだけ勉強しましたとか言う価値ないし」

私は、だんだんと目つきが険しくなってくる二人をまっすぐ見返す。
不誠実といえば、私もそうだったのかもしれない。
勝手に程度を判断してへらへらと話を合わせて。
なんて希薄な関係だったことだろう。

「正直二人の話聞いてるの、ほんと疲れる。思っても無いのに同意するのももう嫌。二人ってどうせ反論しても聞き入れないから話合わせてたけど、私まで馬鹿みたいだって思ってた」

私たちのただならぬ雰囲気に、廊下を通り行く生徒達がちらちらと視線を送っていた。
足立くんや渡部さんも来るかもしれない。それとももう帰ってるかな。

「弓弦、そういうこと思ってたの・・・?」
「・・・なにこれ、絶対違うって!弓弦、付き合う子間違えるからこんなこと言うようになっちゃったんだよ!」
「二人に私の交友関係口出しする権利ないんだけど」
「なんでよ、あたし達友達じゃん!」
「高校入る前からそうじゃん!」
「・・・・もうさ、無駄に話しかけないでくれる?」

私は、大きく息を吐いた。
ああいう生き方は、終わりにした方がいいのだろう。

「私、二人のこと友達だとか思ってないから」

なぜだか、目頭が熱くなった。
< 47 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop