狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
三篠の顔が見たかったけど、身動きが出来ないほど強く抱き締められて見れない。
三篠の息が、耳に優しく触れる。
「……ずっと、ずっとその言葉を聞きたかった。
お前の口から出た言葉は夢じゃないんだよな?嘘じゃないんだよな?」
三篠は夢じゃないことを確かめるように、私の背中を摩る。
これが夢だったら、私の勇気を振り絞った告白が無駄になっちゃうよ?
三篠に夢じゃないことを教えようと、三篠の背中に腕を回した。
もしこれが三篠の言うように夢だったのなら、私は何度でもあなたにこの気持ちを伝えよう。
夢から覚めるまで、何度でも。
しばらく抱き締め合って、三篠の腕の力が緩くなった。
私も腕の力を緩めて、三篠の顔を覗き込む。
三篠の金色の髪が月明かりに照らされて、光っているように見える。
思わず手が伸びてその眩しく艶やかな髪に触れる。
三篠は少し驚いてたけど、やがて頬を少し赤くして私の手に手を重ねる。
私はいつの間にこんなにも三篠に溺れてしまったのだろうか。
運命のようにこの恋に溺れた自分が恐ろしくも感じる。
でもこの恋に溺れられるのなら、恐ろしくたって構わない。