狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
この幸せな沈黙の時間を破ったのは、三篠の声だった。
「…一緒に寝よう、小雛」
この言葉に聞いて数秒、私は固まってしまった。
一緒に寝ようって…つまり…
体が熱くなっていくのを感じる。
そして脳裏に浮かぶのは、ドラマでよくあるベッドシーン。
私は咄嗟に三篠と距離をとる。
「い、いや…こういうのって順序というか、心の準備というかなんというか…いきなりは私も……」
ぷっ
何を言ったらいいのか分からないけど、とりあえず思いつく言葉を言ってると、三篠が笑い出した。
えっと……?
訳が分からずに首を傾げると、笑いを止めた三篠は涙目で私を見た。
「俺はただ添い寝して寝ようと思っただけなんだが…?」
体内の液体が一気に沸点を越えたのか、全身が熱くなる。
私が早とちりをして変な方を考えちゃってたんだ。
ものすごく恥ずかしい……
すると空いた距離を埋めて、三篠は私に顔を近付けた。
「…それとも小雛の考えてることをしようか?」
「け、結構です!!!」
即答すると、それはそれで悲しいと三篠は眉をハの字にして笑った。