狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
三篠とこうしてゆっくり話をするのは久しぶりだから、とても嬉しい。
三篠は欠伸をしながら起き上がった。
いつもこのくらいに起きるけど、今日は一段と眠そう。
三篠は一応混妖達をまとめる王様なわけで、政治のことや街のいざこざを自ら出向いて解決してるらしい。
だから混妖達に信頼されてるんだよね。
でもその分、三篠の疲労は大きくて。
また前みたいに傷だらけで倒れたりしないよね?
前は深寿さんが仕組んだ幻だったけど、今度は本当になりそうで怖い。
なんて考えていると三篠が自分の隣をポンポンと叩いた。
私はされるがままに再び布団に入り、三篠の隣に足を伸ばして座った。
すると三篠は私の頭を引き寄せて、三篠の肩に頭が乗っかる。
「随分と鋭い顔をしていたぞ。何を考えていたんだ?」
優しく髪を梳かれる。
三篠のことを心配していたら、いつの間にか表情が鋭くなっちゃってたんだ。
「…結構忙しそうにしてるから、三篠具合い悪くなってないかなって心配してたの」
素直に打ち明ければ三篠は照れたのか頬を赤くしていた。
「…確かに仕事が山ほどで疲れるが、ここに来てお前と寝ると疲れなどどこかに消えてしまう。
小雛がいてくれるだけで俺は頑張れるんだ」
どうして三篠はこうも恥ずかしいセリフをサラッと言っちゃうんだろう。
今度は私が恥ずかしくなったじゃん。
赤くなってるだろう顔を隠すように三篠の肩に額をくっつけた。
それを見た三篠がクスクス笑ってるのが聞こえた。
恥ずかしい反面、すごく嬉しい。
自分という存在が三篠の癒しになっているのだから。