狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
すると周りの視線が自然と私に集まってきた。
「…おい、あの子人間の匂いがするぞ」
「本当だわ。しかも三篠様と手を繋いでらっしゃる。もしかして……」
「あぁ、人間にしては人間とは違う匂いもする。間違いない」
「………あの女が……鵺姫」
なんか、ものすごく見られてる。
人に見られるのとは違って、殺気も感じるからゾッとする。
もしかして鵺姫って混妖達にはあまりよく思われてないのかな…
そう思っていたのに、次に聞こえてきたのはその反対だった。
「本当に鵺姫様だ!
三篠様が鵺姫様を連れて来られたぞ!
これであの妖王にも勝てる!」
「鵺姫様がいれば、三篠様もお強くなる!
この国は安泰になるぞ!」
「差別される日々が後少しで終わるんだ!」
一気に騒がしくなった。
私、歓迎されてるのかな?
不安そうに三篠を見上げると、三篠はふっと笑って頭を撫でてくれた。
「…心配いらない。こいつら全員、お前の味方だ。
誰一人、お前の存在を否定する者はいない」