狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
「………?み、三篠?」
三篠が私を見つめる意味が分からなくて、首を傾げる。
急にどうしたんだろう?
「…小雛、さっき言っ…「こんな夕方までどこ行ってたんです?三篠様?」
三篠が何か言おうとした時、家の中から声がした。
声のする方を見ると、そこにはサラサラのクリーム色の髪を靡かせた男の人がいた。
三篠と出会った頃のように、その人のことも美しいと思ってしまった。
でも三篠とは違う美しさ。
なんて言うんだろう、大人の美しさ?みたいな感じ。
ゆっくりと足を動かして、笑顔でこっちに向かってくる。
「…ハハハ……いや、ちょっと小雛に俺の国を見せよう、と…」
三篠は苦笑いしながら、私の背後に隠れた。
その男性と三篠を交互に見る。
男性は笑顔のまま近付いてくる。
なんかこの笑顔から殺気を感じる。
ゾッとした何かが体を走り抜けた気がした。