狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
「……み、さ、き、さ、ま?」
「…す、すまない……」
男性の圧力に負けて、三篠は降参した。
三篠の言葉を聞いた男性は殺気の感じない、柔らかな笑みを浮かべた。
そして次には私を見て、地面に片膝をついた。
「初めまして、姫様。
三篠様の第一臣の桔梗(ききょう)と申します。何卒宜しくお願い致します」
胸に手を当てふっと笑う桔梗さんは、見ていられないくらいに眩しかった。
桔梗さん……か。
確かに、桔梗の花が似合うかも。
見惚れていると、いきなり桔梗さんに手を取られた。
「…何か不自由がございましたら、遠慮なく仰ってください」
ちゅ
桔梗さんは私の手の甲に唇を落とした。
「え、えぇ!?き、桔梗さん!?」
「おい、桔梗!俺の小雛に何してんだ!」
驚いている私を桔梗さんから素早く引き離す、三篠。
桔梗さんは訳の分からないような表情をして、首を傾げた。