狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
「…桔梗はな、照れると尻尾が出るんだよ」
桔梗さんに聞こえないように、三篠が私に耳打ちして教えてくれた。
落ち着いてて大人っぽい桔梗さんだけど、可愛いところもあるんだ。
面白くて可愛くてつい笑ってしまう。
桔梗さんの頬は更に赤くなって、「姫様笑わないでください!」なんて言ってる。
私と一緒に笑ってる三篠には冷たい目線を送ってるけど。
そんな会話をしていると……
「おい、三篠!てめぇ、仕事サボってんじゃねぇよ!お陰で俺様がやる羽目になっただろうが……!」
俺様の休日を返せ!
また家の出入り口から誰かが大声を出しながら出て来た。
赤いツンツンとした髪に、鋭い金の瞳。
いかにも苛立っていて、眉間のシワが半端じゃない。
でも三篠はさっきの桔梗さんへの恐怖心とは逆に、腕を組んでこっちにやってくる男性を見下ろしている。