Amarosso~深い愛~の作り方♪
「お名前は?」
今までずっと黙っていた怜士が口を開いたのに、二人して驚いて顔を向けた。
「お名前?
君塚様よ。
君塚鞠江様」
「そうですか。
やはり身内ではないようです」
「そう。
とても素敵な方だったの。
憧れだったのよ」
麗華の母は花がしおれるように、うなだれた。
「きっといつかみつかるって」
麗華は母の肩を荒っぽく叩くと、皿に載ったクッキーを口にほおばった。
「麗華ちゃん!」
「はい、いただきまーす」
もぐもぐと口を動かしながら言うと、さらに目が釣りあがる。
「口の中に物が入っているのに、しゃべってはいけません」
「ふあ~い」
「麗華ちゃん!」
母娘でのバトルは怜士の耳には全く入っていなかった。