Amarosso~深い愛~の作り方♪
「ろうそくを配るのは終わっちゃっただろうな」
構内に入って、周りが小さなろうそくを手にしているのを見て、残念そうに呟いた。
「どこかで聞いてくるか?」
「ううん。
毎年、足りないから。
こっち」
麗華は人混みを縫って歩き出した。
しかし凄い人だ。
この間あった大学祭の比ではない。
構内の照明が落としてあるところに、満員電車状態なのに、ちょっとした不安を感じる。
もし、この中で何かあったら。
群集パニックの恐ろしさ。
「宮内、バッグ貸して」
「へ?」
「危ないから」
麗華のバッグを自分のとまとめて持つと、いつかのように麗華の手首を掴んだ。
そうしている内も、人混みに押されて右へ左へと体が流される。
「えーと、ありがと。
こっちの方が舞台の正面だから。
ちょっと回りこんで行こ」
勝手知ったる大学の構内を、麗華は人混みを縫うように進む。