Amarosso~深い愛~の作り方♪
「こういう時は得だよね」
麗華はくふふといささか品の無い笑いをもらした。
「まあな」
二人とも周囲に比べて頭が飛び出ているだけに、人混み越しでも舞台が良く見える。
既に始まっていた点火祭は牧師が説教をしていた。
プログラムが進むに連れ、一層人が増し、密度が濃くなり、押されてくる。
この人の密集した中では、こっそりと刺されても気付かれない。
怜士は掴んでいた手首を離すと、麗華の体を後ろから緩やかに抱えた。
自分が刺される方が確立は高いとわかっていても、危害が麗華のほうに及ぶのは避けたかった。
自分を苦しませるためだけに、麗華を狙う奴が、同じ顔をした中にいないとも限らない。
囲まれた麗華の体は一瞬だけ力が入ったが、すぐに馴染むように緩んで、怜士にもたれるように体を預けた。
思わず苦笑してしまう。
付き合ってもいない男にこんなことされて、動揺をしないなんて。
男と見られていないか。
その考えが麗華を囲っている腕を狭める。
触れている体から伝わってくる、麗華の温かみ。
ふとした時に立ち上る香り。