Amarosso~深い愛~の作り方♪
8.春はふたたび始まり

   *

イケナイ時間というのは早いもんだ。

皮肉に口元がゆがむ。

カテキョもやめて、疎遠にすべきなのに。

また春か。

高等部の中庭にある小さな噴水の脇で、スイセンが揺れていた。

季節が一巡したとは。

早いな。

このままあっという間に、高等部生活は終わり、去る日が来る。

高等部を卒業する時。

いくら考えても、そこがギリギリだ。

このところ、仲間通しの殺し合いはピタリと収まっていた。

とはいえ、今泉怜士として過ごす時間が長いのは危険だ。

そして、時間に比例して離れがたくなる。

一先ず海外の大学に入学し、その先は状況次第だった。

だから後2年。

365×2。

授業実施日で考えると。

バカバカしくなって、頭の中で動き出した計算をやめる。
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