Amarosso~深い愛~の作り方♪
まっすぐと車へと歩いていく。
スモークが貼ったガラスでは、中は伺い知れない。
だが怜士は視線を微動だにさせなかった。
運転手が飛び出してきて、リムジンのドアを開ける。
中に入り、ドアが閉まると、そこは冬の海の底のようだった。
薄暗く、静かで、寒い。
二人の男は長い間、無言だった。
「初めまして。
お父さん」
怜士は日本語で皮肉を込めて挨拶をした。
男の口の端が歪んだ。
笑ったらしい。
ゆっくりと顔を怜士へと向けた。
向かい合った二つの顔。
男の髪の毛の色と瞳の色は、怜士よりもずっと明るかった。
後の違いは、老いと若さだ。
「久しぶりだな」
男の日本語は完璧だった。