Amarosso~深い愛~の作り方♪
2.出会い
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それはある高等部の文化祭だった。
数か月後だというのに、今泉怜士(いまいずみ さとし)は、いまだに受験する高校を絞り切れていなかった。
どの難関校にも問題なく受かるとはいえ、多くは金のかかる私立校だ。
最難関の国立大付属校に行って、国立大学を受験、というのが一番妥当だと思っていた。
いくらなんでも、育ての親にそこまで負担はかけられない。
当の本人たちが、生まれた時に自分たちの子は死産で、擦り換えられたことを知らず、実の子だと思っていても。
それでも迷いがあったから、友人の誘いに乗って、ある学校の文化祭に行った。
友人の狙いは、お洒落で可愛い子が多いからだけだろう。
それは志望校を決断するために行く怜士にとって、どうでもよかった。
大抵において、女に興味がなかった。
互いの要望が合致した時だけでいい。