Amarosso~深い愛~の作り方♪

「ん」


目の前にアイスの包みが突き出される。


「サンクス。
 さすが今泉、気が利く」


麗華はペットボトルのキャップを閉めて小脇に抱え、包みを破った。

バニラのアイスにチョコとナッツがコーティングしてあって、思わず、頬が緩む。


「少し外、出てみる?
 でかい月が出ている」


怜士が窓の外を見ていた。


「うん」


怜士とこうやって二人で過ごすなんて、半年振りぐらいなのだ。

時間が長いほど嬉しい。

大浴場の脇にある非常口は、防波堤に続いていた。

半歩先を歩く怜士の背中は、この半年でまた少し大人びた気がする。

背も伸びたような。


「わざと。
 か弱い真似をするのはどうかと思うけど。
 素の部分にある、か弱いところを見せるのは悪いことじゃない」


歩みを速めて怜士に並ぶと見上げる。

怜士はにやりと笑って見下ろした。
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