Amarosso~深い愛~の作り方♪
そこから離れるために、ひたすら足を進める。
どのくらい自分が歩き続けたのかわからない。
数歩先の地面に、ずっと固定していた視線をやっと上げた。
真っ直ぐの伸びた大通りの先に、白い満月がかかっている。
麗麗とした光。
進んでも進んでも近づかない。
手に届かない。
唐突に怜士は足を止めた。
自分の足が痛むだけとわかりながらも、脇の街路樹を蹴り上げる。
そのまま幹に額をぶつけた。
容姿端麗、頭脳明晰と言われたって、たかだか17の男にどれほどのことができる?
こんな手段でしか、残せない。
忘れないで。
言葉でない手段を、探した結果。
忘れないで。
どうか。
忘れないで。