あたしに明日は来るのでしょうか。
薫side
「薫ー‼︎ 次の授業、移動教室‼︎ 急ぐよ‼︎」
そう言ってあたしの元に走ってきたのは、陽架里。
「え、移動教室...?」
前の授業の数学の教科書を持ったままゆっくりと瞬きを繰り返す。
もうそんな時間...?
「そうよ‼︎ 時間ないから急いで‼︎」
そう言って、あたしの腕をガシッと掴むと、走り出した。
「え、ちょ陽架里⁉︎ あたし手ぶらなんだけど‼︎」
授業で教科書いるのにあたし持ってないし‼︎
あたし怒られる...‼︎
「何言ってんの‼︎ 次、視聴覚室だから、教科書いらないの‼︎」
「え、そうなの⁉︎」
知らなかったし。
「そう‼︎ だから、今は本気で走る‼︎」
陽架里はそう言い終わると同時に、グンッとあたしを引っ張る力が強くなった気がした。