あたしに明日は来るのでしょうか。




「なぁ、ずっと思ってたんだけどよ。薫、いつになったら俺のこと呼んでくれんの?」



「え...?」



榊の方に顔を向けたと同時に、髪を触ってきた榊。



突然のことに、ドキッとする。




「なーんか俺ばっか好きみたい」



そう言って、目を伏せる榊。



「......そんなことない」



「なら、証拠見せてよ。俺、ずっと不安なんだよな。あれ以来、なーんもないし。薫はいつもと変わんねぇし」



「証拠って......」



証拠って言われても。



どうすればいいのか分からない。





「キス......とか?」


呟くようにそう言って、あたしの唇に指を当てる榊。


その瞬間、ドクッと心臓が飛び跳ねて、顔が熱くなったのが自分でも分かる。


「......照れてんの?」


ふっと笑いながら、あたしの顔を覗き込む榊。


「い......い、や......」



「嫌って......酷ぇな。ま、別に俺はそんな気にしてねぇけどな」



そう言って、あたしの唇から指を離すとあたしから目を逸らす榊。



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