ただ、ブレーキの仕方を知らないだけ。
ほこりっぽい階段を上り、ドアを開く。
昼間のまぶしい光が目をさす。緑も香りそうな爽やかな風が彼女の長い髪を乱れさせた。
バタン。
ドアを閉めると僕は彼女を後ろから抱きしめる。
彼女は身を堅くして僕から離れた。
僕はおどけて言う。
「てっきりさそわれたのかと思った」
彼女は相変わらずの冷めた目で僕を見た。
青空の下は気持ちが悪いくらいに爽やかだ。
「ラブラブだっていったじゃない」
風がスカートをめくる。白い太ももと桜色のショーツが覗く。
彼女はあわててスカートをおさえた。
「みてないよ!」
僕は弁解するように言った。
彼女の頭の上の空に飛行機が筋を残してすぎてゆく。
彼女は少し笑った。
僕も笑う。
彼女は給水塔の影に腰掛て、ポケットからタバコを取り出した。
僕ももらって口にくわえると彼女のタバコの先に付けた。
彼女の香水とヤニの混ざった香りがする。
「二人でタバコを吸うのって久しぶりね」
「うん~」
僕はわっかを作りながら青に消える白い煙をぼおっとながめていた。
彼女もマネをしようとしたらしかったが、何をまちがったのかむせていた。
タバコのフィルターに紅い色がついていた。
短いスカートから白いももがのびている。
僕は涙目の彼女に口付けた。ショーツに指を伸ばす。
彼女は抵抗しながら嫌悪感まるだしの視線を僕にむけていたけど、しばらくすると数週間前とおなじようにいじらしくよがっていた。