君の名を呼ぶ度に。
昂は一瞬空を見上げて

「俺にしとけ」

そうやってあたしを見ずにどこか遠くをみて言う
昂。

空は泣きそうで
あたしのみている昂も泣きそうな顔をしていて……

見ていられなくなるんだよ。

だからあたしは笑うしかなくて……

結局、元のあたしに逆戻りしてしまう。


翔の面影を追っていることを昂は知っている。

だから
だから

だから……─


何も言えずに昂の言葉に頷くしかなくなってしまう。


『自分を見失わないで?』

あたしのせいでもう十分傷付いてるじゃん。

知ってるよ。


あたしだけが。
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