君の名を呼ぶ度に。
「おはよ。遊亜」
教室はいつもより静かで、皆真剣な顔をしている。

その中でやけに美紅の声が通った。

『おはよ……』
「遊亜、それに昂。大丈夫だった?」

「俺はなんとか」

昂は美紅の言葉に少しあたしを気にしながら答える。

『あたしも大丈夫』
「本当に?」

あたしより背が低い美紅は精一杯顔をあげてあたしをみる。

……そんな心配そうな目でみたら駄目だよ。

あたしには、昂と付き合うことが結果的にどうなるか分かっているから。

『本当だよ?嘘つくわけないじゃん』
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