君の名を呼ぶ度に。
『……っ』

笑っても笑ってもあたしの黒い部分は消えなくて。

口にだして昂に謝ることもできなくて。

ただ、無意味に偽りの笑みをうかべる。

それでも昂はきっと、さっきのあたしの言葉があたしの本音だって分かってる。

……ううん─

多分、翔が記憶を無くしたって知ったころから。

昂だって躊躇ったはずだよね。
昂だって苦しいよ。


分かってたからこそ、苦しいんだ……─


そんなわけ無いって、きっと心の何処かで思っていたから。
< 4 / 42 >

この作品をシェア

pagetop