君の名を呼ぶ度に。
優しい君に甘えているだけの女。

それが今の遊亜だよ。

「だからって、お前の居場所はここじゃないはずだろ?」

分かってるよ。

でも怖い。

記憶がなくなった翔を受け入れるなんて無理だよ。



無理なんだ……



それでも時間は止まってくれなかった。

『ご面会の方はこちらですよ─』


「いってらっしゃい」

昂はそう呟くと、

「責任はとるから」

哀しそうな顔で笑った。

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