夏と君を好きになった日。
まあそれはそれで、羨ましいのだけれど。
今日は私も先輩に昨日言った遊園地のお土産をと思い、聞いてみたら今日一緒帰ってくれるらしい。
そのことで、朝から浮かれっぱなしだ。
「春真」
下駄箱で靴に履き替え、まだ生徒がちらほらと残る校門へ足を進めていると後ろから不意に名前を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると先輩が立っていた。
「ちょうどだな、行こうか」
そう言ってニコッと笑った。
先輩と同い年の人達がチラチラとこちらを見ていたけれど、先輩は全く気にしていないようで。
「うん」
そう返事して、歩き始めた。
「やっと話せたね」
「そうですね」
「ごめん、周り…何かこっち見てたっぽいけど。ど真ん中で名前呼んじゃった」
先輩はあははっと苦い笑いをしながらそう言った。