夏と君を好きになった日。
「いえいえ、そんなことないですよ!…むしろ嬉しかったですし」
そう言うと先輩またあははっと笑いそうかそうか、と満足気に言った。
「今日、部活お休みですか?」
「そうそう。ちょうど雨降りそうだし顧問も今日出張らしいからさ」
そんなことを話していると、ぽつ、ぽつと雨が降ってきた。
「あ。降ってきた」
「春真も傘入る?」
「あ…はい!」
先輩が黒い大きな傘を差し出して、いれてくれた。
傘に雨粒がぽつ、ぽつと音を立てて地面へ滑っていった。
「あっ、そうだ…これ、どうぞ。」
「おお!」
「このキャラクター、先輩好きでしたよね?」
「うん、好き。ありがとう」
そんな他愛もない話をしていると、家の周辺に着いた。
「ここら辺だったよね?」
「はい、送ってくれてありがとうございます。」
「いえいえ、じゃあまた明日な。」
「はいっ」