夏と君を好きになった日。
*****

「春真?聞いてる?」

「…ん?聞いてるよぉ…」

「朝っぱら眠たそうにして、昨日ちゃんと寝たの?」

「んやぁ…ねへにゃい」

ふあぁ、とあくびをして、ぺたぁと顔を机に伏せる。

「夜は寝ないとだめだぞ?お肌に悪いんだから。」

雪がぽんっと頭に次の教科の社会の分厚い資料集で叩く。

「ぎゃん!!」

自分でも良く分からない奇声をあげ、雪に反撃しようとするも、用意をしていなかった私の手元の武器はノートのみだった。
薄っぺらいノートをひらひらと雪の頭まで持っていくと、雪がさっとかわし、ひょいっとノートを取った。

「はい、残念」

あはは、と2人で笑った。
何だか眠気なんて吹っ飛んでしまった。
きっと雪はこのために遣ってくれたのだろう。

キーンコーンカーンコーンと、チャイムが鳴り、急いで社会の準備をしてサッと席に戻る。
ギリギリセーフ。
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