あいつと最後の恋愛・・・できますか
「聡は知ってるの?」

「これから言う」

「私ひと段落ついたから、ここは引き継ぐから、資料室行っておいで」

資料室・・・私達が時々疲れた時、休憩しながら仕事ができる場所として

よく使っていた。

誰かが使うと他の人は入らない。昔からそういう風に使われていた。

ファイルを持って資料室へ向かう途中に聡に声を掛けた。

「後で来て」

「ん?わかった」

一人部屋へ行き椅子に座りぼーっとしていた。

ドアのノックが聞こえ扉が開いた。

「玲、どうした?何だその顔」

「聡・・座って」

「どうした?暗い顔だな」

「あのさ・・・移動になった・・・私」

「え?何処だ?」

「海外事業部」

「嘘だろ」

「敏則の企画のチームに入ったみたい」

「・・・そっか」

「聡」

「ん?」

「ごめんね・・・」

「仕方ない・・・俺らの勤務年数から考えたら移動もありだろ?」

「・・でもまさか私とは・・・」

「女性課長の誕生・・・かもな」

「やめてよ。そこまで働く気はないわ」

「でも・・・スキルアップにはいいじゃないか」

「いいんだけどね・・・何で今頃って感じ」

「それは確かに・・・」

結婚と仕事、両立したかった。でも海外事業部での仕事となると、両立は難しい・・・

出張、残業、休日出勤。これが当たり前。

「玲・・・今は仕事だけ考えたらいいから」

肩をそっと寄せて何も言わずただ頭を撫でていてくれた。
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