あいつと最後の恋愛・・・できますか
「ただいま・・・」少し疲れた様子で聡が帰ってきた。

「おかえり・・大丈夫?」

「ああ・・」ソファーに座り天井を見ながら目を瞑っていた。

「聡・・・少し寝たら?」

「いや・・大丈夫・・。それより玲、ちょっといいか?」

「何?」

「俺・・・会社・・辞めることになったから・・・」

「どういうこと?」

「兄貴が会社来てくれって・・・」

「それって・・・お父様のことで?・・・」

「ああ・・」

「今日、健二が昼休みに聞いてきたの・・・私は知らないふりをしたから・・
健二はお父様のこと知っているみたいだけど・・・」

「親父の病気・・・癌って・・診断されたんだ・・・」

「嘘・・・」

「だから事実上引退・・になりそうなんだ・・・」

「薫子さんが帰ってきたことも・・そうだったの?」

「ああ・・」

「聡はいつ辞めるの?」

「来月・・・それで入籍なんだけど・・」

「急がなくていいじゃない・・聡が落ち着いてからで・・」

「ごめんな・・・突然こんなことになってしまって・・・」

「気にしないで・・お父様が元気になってからでも遅くないでしょ」

「そうだな・・・」

私の顔を見ながら笑っていたが、聡の顔はどこか悲しそうだった・・・。
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