あいつと最後の恋愛・・・できますか
さっきの言葉のせいか、聡の声が今まで以上に気になるようになった。

声が聞こえると、聞き入ってしまう自分がいる・・。

姿が見えないと自然に目で追ってしまう。姿を見つけてほっとする。

仕事の手が止まっているのも気づかずに、聡を追いかけている・・・

「姉さん!これ、ミスしてますよ」と後輩に言われてはっとした。

「え?何処?あ・・・ごめん・・入力ミスだわ・・」

「姉さんらしくないですね・・熱でもありますか?」

「無いよ」

「でも・・顔、赤いですよ」

「へ?・・・何でもないから!ごめーんやり直す」

急いで書類を取りあげてパソコンに向かった。こんな自分がばれたくなかった。

後輩も首を傾げながら席を離れた・・

隣で沙織が声を殺して笑っていた。

「昨日ぐらいで何?その動揺・・・玲らしくないねぇ~」

「違う・・さっき聡に言われたの・・廊下で」

さっきの出来事を話すと大笑いされた・・

「玲・・・聡に惚れたね・・」と耳元で言われた。

「沙織・・・今は考えられない・・これ以上ミスできない・・」頬を自分で叩いていた。

「ほら・・噂をすれば・・」聡がやってきた。

「玲、このデータ、頼むわ」

「え?私が!」いつもより驚いてしまった。

「お前だろこの資料持ってるの」不思議そうに見ていた。

「あ・・・今夜は残業確定だわ・・」

「俺も付き合うから頼むな・・」といって頭撫でて行った。

「玲・・・グッジョブ!」と肩を叩いて沙織は席を立った。

「沙織~」と泣きそうな声で助けを求めた・・

聡と残業確定・・・こんな状態でやれるのか不安がよぎった・・

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