あしたになれば
廃墟に近づく度に思うのが、とても気味が悪いという事だ。

辰巳は、廃墟、心霊スポット、そういう類いの場所に行くのは初めてだ。

正直甘くみていた。

まだ、暗くなっていないのに恐怖を感じる。

廃墟の前に立つとその恐怖は倍になった。

―薄気味悪いな、寒気がする…

雨で濡れ、体温が落ちたせいではない。
初めての廃墟に、恐れているのだろう。


廃墟には大きな門が構え、庭は手入れされていないので、雑草が無造作に生えている。

―まるで、ホラー映画だな…

公平は、お先に、と慣れたように門を飛び越えた。

次に慎太郎が行こうとしたが、「どうぞ」とこんな時にも慎太郎のいらない上のもてなしだ。

「あぁ…」
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