あしたになれば
気付くと、メモ帳の半分書いていた。

ペンが進む。時間は過ぎる。

目的地に着いた時には、一冊半書いていた。

電車を降りると、雨が激しく降っている。

修理道具が、邪魔に思える。

地図を見ると、依頼者の場所は歩いていけない距離ではないが、激しい雨の中を歩きたくないと思い、バスで向かう事にした。

バス停に丁度良く、バスが来るのを見つける。

田舎町でバスを乗り過ごす事は、致命的だと思い走る。
しかし、修理道具が走るのを邪魔をする。

『はぁはぁはぁ』

自分でも笑ってしまう勢いで、息をはく。
なんとか、バスに乗れた。
まず、席が空いているか確かめる。
バスには、真ん中の席に、老人が一人いるだけだ。


邦裕は、一番後ろの席に座る。

一息つくと、老人が邦裕を興味の目で見られていることに気付く。

興味の目は行動に変わる。

「お兄ちゃん、どこから来たんだい?」

「あっ、東京から来ました」

「東京から?何しに来たんだい?」

「シュレッダーを、修理しに来たんです」
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