あしたになれば
「そうかい、田舎町までご苦労様だねぇ」


愛想笑いで
「いえいえ、仕事ですから」

老人は、その邦裕の普通の返答に、興味がなくなり外を眺め始めた。

邦裕は何とも言えない、むなしさを感じた。


(作家志望としては、0点の会話だったな)

まだ、目的地に着くには時間がある、ふてくされたのもあり、仮眠をとった。


突然体が揺れ邦裕は「たっ!」奇声をあげ起きた、目の前には老人が笑って揺らしていた。

邦裕は恐がりながら、「な、なんですか?」


「お兄さんは、シュレッダー直しに来たんだろ、次で降りんと」


電子板を見ると確かにそうだ。

「えっ、なんで分かったんですか?」


「こんな、町でシュレッダー使う人なんて、村井さんの所しかないからな」


「どうも、ありがとうございます」

「いいんだよ、若いの頑張りなさい」

「ありがとうございます」
傘をさし降りる」
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