あしたになれば
「わかりました、よろしくお願いします」

女性は自宅へ戻った。邦裕はアタッシュケースから工具を出し、シュレッダーの上カバーを開ける。

(うわっ)

邦裕が、修理した中で一番と言っていいほどの、酷い屑詰まりだ。

カッター部に、のっている紙屑を除去し、刃を確認する。

(刃は異常なしだ)

次に空回しをする。ギヤ部から『ガタガタ』と異音がした。

確認してみると、ギヤの山が欠けていた。

(オーバーホール<分解>しなくちゃ駄目だな)

工場で直したいが、この田舎町だと引き揚げ作業は困難の為、ここでやるしかない。
電話対応の時に、勘づいていたので、おおよその部品を持ってきていたのは正解だった。
あとは、依頼者の了承を得るだけだ。

邦裕は、依頼者宅に向かい呼び鈴を鳴らす。

出てきたのは、さっきの女性ではなく、女子高生風の若い娘がでる。その娘は邦裕の顔を見て首をかしげ
「あの、誰ですか?」

「今、シュレッダーの修理をしてるのですが、お母様はいらっしゃいますか?」
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