あしたになれば
分解し終わり、組み立て作業をする時には、二人の話題が少なくなっていた。

しかし、奈央はその場から立ち去ろうとしない。

邦裕は無理矢理話題をふる
「お父さんは何してるの?」

「ウチのお父さんは、会計士だよ。あと、小説家もしてる」


小説家の言葉に反応する。
「お父さん小説書いてるんだ。俺も書いてるんだよ」

「えっ、そうなの?どういうの書いてるの?」

「今は、ホラーだよ。見てみる?」

「…見てほしいんでしょ」
邦裕は、恥ずかしそうに「まぁ、そうだね」

小笑いして「じゃあ、見せて」

グリスで、汚れた手でアタッシュケースから、メモ帳を出し、渡す

奈央は、評論家ぶった素振りで読み始めた。その間に、邦裕は組み立てる。



組み立て終わり、細断テストも済ませ、後は修理完了を報告するだけだが、奈央が真剣に邦裕の小説を見ているので、奈央が読み終わるのを待つ事にした。





「う~ん…、まぁまぁかな」

奈央の発言に邦裕はショックを隠せない。
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