あしたになれば
男はバス券をとらず席に座る。

それを見かねた中年の男性が「バス券とらないと駄目だよ」とレインコートの男にバス券を渡そうとした。
レインコートの男は、手を震わせバス券を奪うようにとる。

その時、男の爪があたったらしく「痛っ!」

中年の男性は気味悪がり、最初に座っていた席ではなく、レインコートの男から離れて座る。


それを見ていた奈央は
「あの人、気味悪いね」

「うん、そうだね。シャブ中なんじゃないか?」

奈央は、笑いながら
「それは、絶対言い過ぎだよ」

「そうか?」

二人は笑う

「ねぇ、頭痛大丈夫?」

「まだ、痛いね。風邪引いたのかな」

「そうだよ、雨に濡れたまま作業してたもんね」

「だよねぇ…」

突然、運転手が大きな声を出す

「お客さん、バスが動いてる時は立ち上がらないで下さい!」

さっきの中年の男性が立っていた。
< 46 / 68 >

この作品をシェア

pagetop