あしたになれば
邦裕は一心不乱にバールを振った。

『ゴシャッ』と嫌な気持ちになる音がした。


手に残る叩いた感触、罪悪感を生む。


(殺してしまったのか?)

確認したい気持ちはある。だが、見てはいけないと思い見れなかった。

邦裕はどうしていいか解らなくなり軽い錯乱状態になっていたが

「邦裕くん大丈夫?」

奈央のその一言で、少しは気をしっかりさせようと思えた。

邦裕が深呼吸をすると、レインコートの男が立ち上がり邦裕の方を見ている事に気付き、身に危険を感じて
「奈央走れるか?」

「え?うん」

「早く逃げよう」

奈央もレインコートの男に察して

「あっ!うん」

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