あしたになれば
奈央は今にも泣きそうで震えている。

邦裕は抱きしめかえした。
「怖かった?」

「うん」

「ごめんな」

耳鳴りが、頭痛に変わり始めた。
顔をしかめると奈央は気づき
「まだ頭痛治らないの?」

無理に笑顔を作り「治ったんだけど、今になって、また頭痛してきたよ」

邦裕の視界に、現実を思い出させる操り人形の様な動きの影、その後ろにはレインコートの男。

奈央は邦裕の表情を見て、後ろに気付く「邦裕君逃げよう」

「あぁ、逃げよう」

何処に逃げればいいのか分からないが走った。

途中で二つの別れ道に出る。

止まり悩むと、奈央が「左に行こう、学校があるから!」

「そうしよう、そこまで走れる?」

荒い息づかいを耐え「うん、大丈夫」

二人は目を合わせ頷き走った。
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