あしたになれば
「そうだね」


受話器をあげ、電話をしようとした時、廊下から走り音が聞こえてきた。


「隠れろ」

邦裕と奈央は机に隠れ、机の影から廊下を伺う。

事務室を通り過ぎる影。


奈央は、邦裕の袖を掴みながら
「あの変なのだった?」


「違うかもしれない。ちょっと確かめてくるよ」

邦裕が立ち上がろうとすると、奈央は掴んでいた袖を引っ張り、邦裕の邪魔をした。

邦裕は苦笑して
「大丈夫だよ、ここから離れないから、廊下を見るだけだよ」
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