あしたになれば
心配そうな顔をして、ゆっくりと袖の手を離した。

邦裕は中腰で廊下に向かい、静かにドアを開け、走り音の方を見る。

奈央との少しのやりとりの間に、視界では確認できない距離になっていた。


静かにドアを閉めて、奈央のもとに戻る。

「あいつらか確認できなかった」


「確認できなくても、しょうがないよ、ねぇ早く警察に電話しよ」

邦裕は、すぐに頷きダイヤルを押すが、通話音がしない。

「駄目だ、回線が通じてない」

「え!なんで!?」

「もしかしたら、この雨のせいかも」


奈央は落胆して

「どうしよう…」


眉間にシワを寄せ、邦裕は考える。

ひとまず外を伺った。
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